LCAサテライトスクール白山 (2023/2/27~2023/3/3)
LCAから発信する学びに対する新たな取り組み、「LCAサテライトスクール白山」が2/27〜3/3に行われました。
【サテライトスクールとは】
家族で地方に暮らしに行く。本物の経験を地方でしながら、都会の授業はタブレットで受講。
ICT教育の最先端を行くLCAだから実現できる、新しい、学校のカタチ。
都会の学校に通うだけではできなかった、地方の学校や地域の方々との繋がり。
地方の自然や文化の中に、家族で暮らすことで育まれる、Well-being。
英語教育の実践の中で大切にしてきた、LCAの「幸せを育む学校」という教育哲学を体現するのが、サテライトスクールです。
通常の学校期間中に参加者を募集し、家族で地方に暮らしに行きます。子どもたちは普段の教室の授業をオンラインで受講し、保護者の方々はリモートワーク。放課後の時間や特別授業では、その地域の自然や文化から学ぶプログラムを親子で体験します。
「家族で地方に暮らす」ことで、都会と地方、それぞれの価値を再認識し、世界を広げます。
いつもと違う時間の流れの中で、子どもも大人も、家庭も先生も一緒になって経験する地方での学びの数々。地域の方々や学校との交流を通して、「第二の故郷」と呼べるほどの絆が生まれていきます。
これまでは徳島県海陽町で行っていましたが、新しいチャレンジとして、国際高等専門学校との協同の下、石川県白山市で実施しました。
今回は白山での初の取り組みということで、モニターも兼ねてこれまでサテライトスクールに参加したことがあるの中から募集をさせていただいたところ、児童19名を含めた総勢41名の方たちが参加してくださいました。
ここからは4泊5日の活動の様子をご紹介します。
【1日目】
集合場所は白山比咩神社。
今回は新幹線・飛行機・自家用車と、3パターンに分かれて集合しました。
徳島のサテライトで仲良くなっていたご家庭が多く、早めに着いて一緒にランチをしている方たちも多くいました。
子どもたちもこれから始まる5日間にワクワクしている様子です。
・白山比咩神社見学
まずはこれからお世話になる白山地域の神様にご挨拶をしようということで、白山比咩神社を参拝しました。
富士山・立山と並ぶ日本三名山の一つ「白山」。
その白山を神体山とする白山比咩神社は、全国に約3千社もある白山神社の総本宮。
御祭神・白山比咩大神(しらやまひめのおおかみ)は、またの名を菊理媛神(くくりひめのかみ)といい、ご縁を「くくる」神様といわれているそうです。
徳島では毎回轟神社に参拝に行っていました。
轟神社は轟の滝が御神体、白山比咩神社は白山が御神体。
場所は遠く離れていても、自然を大切に想う気持ちは共通していました。
今回のサテライトスクール白山では、どのような発見があるのでしょうか。
・高専の施設案内/里山バイオプログラム
参拝後はそれぞれの車で国際高等専門学校に移動。
高専のスタッフから施設に関する説明を受けます。
今回は高専の教室内でオンライン授業を受けたり、高専の寮に泊まったり、高専の学食を使ったり、体育館で遊んだり、高専生でなければできない体験がたくさんあります。
精密機械などもたくさんあるので、しっかりとお話を聞きました。
その後金沢工業大学 准教授 相良純一先生による里山バイオプログラムを受けました。
指についている菌を、
・そのままの状態
・手を水で洗った状態
・手をアルコール消毒した状態
この3種類でシャーレの寒天に付着させ、3日間かけて培養させて比較するというもの。
どの状態が最も菌が多いと思いますか?
結果は4日目にわかるので、楽しみにしていてください。
菌の採取が終わった後は、実際に施設内を歩いて案内していただきました。
実験用の器材や英語の本もたくさんあり、初めて見るものばかりの校内。
子どもたちのテンションは上がりっぱなしです。
高専生ではない私たちが入れる機会なんてまずありません。
今回のために用意してくださった国際高等専門学校スタッフの方々には感謝しかありません。
・寮での食事
高専にいる間は学生も使っている食堂で食事をしました。
異学年の子どもと保護者が一緒になって食事をします。
今回のサテライトは家族同士が同じ時間を共にする機会が多いため、自然と会話が生まれて仲が深まっていきました。
・Ichigo Jam(プログラミング体験)
夕食の後は、希望制でIchigo Jamを使ったプログラミング教室が行われました。
プログラミング言語のBASICを使ったIchigoJam。
この小さな基盤にモニターとキーボードを繋ぐだけで、本格的なプログラミングが体験できました。
LEDを点滅させるプログラムを組んだ子どもたち。
プログラムの仕組みがわかると、数字を変えて点滅の速度を上げたり下げたりしながら遊んでいました。
「これを入れるとどうなるのかな?」
「光らないけど、何が違うんだろう。」
思いついたことを入力しては修正してを繰り返し、着実に仕組みを理解していきました。
【2日目】
今日は朝からみんなと一緒です。
食堂でしっかりご飯を食べたら、オンライン授業に向けて準備をします。
・オンライン授業
オンライン授業は高専の教室で受けました。
最新のテクノロジーが揃っている国際高専だけあって、wifi環境は最高。
授業は非常にスムーズでした。
教室を出てすぐの場所に雪が積もっていたので、休み時間には雪遊びをしながら授業時間を楽しむことができました。
・AI Block Experience/Image Recognition(英語プログラミング)
午後の時間は、タイのAIソフト、CIRA Coreを使った英語プログラミング体験を行いました。
CIRA Coreはタイ人の方が開発したAI検出システムで、車のナンバープレートの検出などが可能なソフト。
今回はこちらを使って自分の顔を検出する実験を行いました。
必要なブロックを繋ぎ合わせながら、パソコンのカメラで自分の顔を色々な角度から撮影して取り込み、AI検出プログラムを作ります。
かなり高度な内容、かつ英語での説明だったため難しかったのですが、G1の子どもたちも説明を聞きながら一生懸命にチャレンジしていました。
プログラミングが好きな高学年の子はとても楽しそうで、他の子たちのヘルプにも入っていました。
そして完成した検出システムがこちら。
プログラム上に登録してある顔が画面に映ると、顔の上にその人の名前が表示されるようになりました。
最新技術を体験できる貴重な機会になりましたね。
・レーザーカッター工作
放課後はレーザーカッターを使ってアクリル製と木製のキーホルダー作りを行いました。
自分でデザインを選び、刻印したい文字を考え、オリジナルのキーホルダーを作ります。
サテライトで仲良くなったお友だち同士で一緒の文字を入れている子たちもいました。
デザインが決まったらレーザーで刻印。
実際の様子も見せてもらいました。
大きなアクリル板からレーザーの力で文字や形が作られていく様子にびっくり!
なんでこんな風になるの?と聞いている子もいました。
そして完成したのがこちら!
本来はアクリルだけの予定でしたが、今回は特別に木のキーホルダーも作らせていただきました。
世界に一つだけのお土産ができましたね!
キーホルダー作りの順番待ちをしている間に、VR校舎見学もしました。
色々な場所に最新技術が詰まっていますね。
・Ichigo Jam(プログラミング体験)
昨日の続きのプログラミング。
今日はキーボードとモニター以外にも、様々な機材を繋いでみました。
LEDライトやプロペラを繋いで正しく動作させるにはどこに差し込めばいいか。
どのような手順を踏んでプログラムを入力すればいいか。
高専スタッフの方の説明を聞きながら、慎重に作業を行いました。
正しく動かないときは何が原因なのかを話し合います。
Try&Errorを繰り返しながら思考力を高めていきました。
【3日目】
・白峰小学校の児童と白峰謎解き街歩き
3日目と4日目は白峰で過ごします。
日本屈指の豪雪地帯で、平成24年に文化庁から重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)に選定された地域。
大人の身長を超える高さまで雪が積もることもあるそうです。
最初に訪れたのは白峰小学校。
全校児童数が11名の複式学級の小学校です。
今回は株式会社SAGOJO様の企画で、白峰小学校の子どもたちと、白峰の街を歩きながら謎解きを行いました。
白峰小学校の体育館に集まって自己紹介を済ませ、謎解きの説明を受けます。
「なぜゆきちゃんが消えたのかな?」というお題に沿って、白峰の色々なお店を訪れて、お話を聞いたり、顔認証システムを使って買い物をしたりしました。
白峰小学校の子どもたちの案内の下、街を散策する子どもたち。
最初は緊張した様子でしたが、行動を共にするうちに段々と会話が増えてきました。
白山栃餅 志んさ本舗様や白峰特産品販売施設菜さい様でヒントの書かれた紙をもらい、
iPadを使って白峰のことを調べながら謎を解きました。
一緒に悩みながら謎解きをしたことで子どもたち同士の仲が深まったようで、帰り際には、
「また来てね!」
「今度は一緒に遊ぼう!」
といった声も聞こえました。
白峰小学校の児童の皆さん、先生方。
貴重な機会をいただいてありがとうございました。
・かんじき体験
お昼ご飯を食べた後は、特定非営利活動法人 白山しらみね自然学校様の企画でかんじき体験をしました。
雪国の生活の知恵「かんじき」。
かんじきは木と縄で作った履物で、雪の上を普通の靴で歩くと足を取られて思うように歩けませんが、かんじきを履いていると体重が分散するので、雪の上を歩きやすくなります。
ホールでかんじきについての説明を受けた後は、実際に雪山に行ってかんじき体験をしました。
歩きやすさの比較のために、スノーシューも用意されています。
それぞれ足に装着して、いざ雪山へ出発!
最初は慣れない装備に戸惑っていましたが、すぐにコツをつかんで山を登っていきました。
引率教員の川原は何度も雪に埋もれていたのに、さすがはLCAの子どもたち、順応性の高さにビックリです。
上に登った後はそり滑りをしたり、
雪合戦をしたり、
雪だるまを作ったり、
思いっきり雪国を満喫しました!
白峰の雪は都会と違ってサラサラでべたつかないため、子どもたちは大興奮!
日が沈んできても、「まだ遊びたい!」と言っていました。
・地域の方との食事会
その日の夜は白峰地域の方を交えて食事会をしました。
白峰名物の堅豆腐やジャガイモのカッチリ、油揚げなど、白峰らしいメニューが盛りだくさん!
最初は唐揚げやトンカツを食べていた子どもたちでしたが、地域の方から白峰の名物についてお話を聞いた後は、次第にそちらも食べるようになりました。
「堅豆腐、味が濃くておいしい!」と言っていたG4の子も!
地域の方々からもたくさんお話を聞けて、有意義な時間になりました。
【4日目】
4日目は朝から雪が降っていました。
3日目まで全て晴れで、「天気が良いのは嬉しいけど雪も見たかったね」と言っていたので、私たちにとっては嬉しい雪です。
白峰地域にいる間に降ってくれたので、豪雪地帯での生活を少しだけ体験できました。
・微生物調査サイエンスプログラム
相良先生と初日に行った、指に付着している細菌の採取と培養。
ついにその結果が出ました。
・そのままの状態
・手を水で洗った状態
・手をアルコール消毒した状態
3種類の状態でシャーレに指をつけて細菌を培養させ、どれが一番繁殖しているかを確かめる実験。
青くなっている部分が細菌がいる場所です。
結果を見ると、アルコール消毒した指には菌がおらず、水で洗った指が一番菌が多くなっていました。
何もしていない状態が一番菌が多いのではないかと予想していた子がほとんどだったため、この結果にはびっくり。
水で洗うと菌が広範囲に広がることが理由だそうです。
他にも白峰の雪や土を採取して1000倍までズームできる顕微鏡で観察しました。
子どもも保護者も1000倍のズームで見る世界にくぎ付け。
どんな所にでも菌はいることを、その目で実感しました。
菌やウィルスへの対策を徹底されて育った今の小学生たちですが、そもそも私たちの体にはおよそ100兆個もの細菌や微生物がいます。
そして、その細菌や微生物の力によって、私たちは生きることができています。
「私たちは生物として共に生きている」
withコロナで育ってきた子どもたちにとって、とても大事な学びとなりました。
・オンライン授業
午後は聖得寺というお寺の中でオンライン授業を受けました。
お寺でオンライン授業という、教員にとっても子どもたちにとっても初めての試み。
最初に住職さんに挨拶してから、それぞれiPadでオンラインに繋いで授業を受けました。
お寺ではポケットwifiでネットに繋ぎましたが、こちらも電波的には問題なくとてもスムーズ。
休み時間やP.E.の時間は雪の中でみんなで遊びました。
子どもたちの授業はスムーズだったのですが、お寺の外は大雪で大変なことになっていました!
高専に戻るときは保護者同士で協力して子どもたちを車に乗せたり、雪を落としたり、みんなで助け合って動きました。
サテライトは保護者の協力無しでは成り立たないなと、改めて実感しました。
高専に戻った後は雪遊びをしたり、
体育館で遊んだりしたり、
サテライト参加者のスケートの映像を見たり、
サテライトのこれまでの映像をまとめてくれた子がいたので、その動画を見たりしました。
・懇親会
そして最後の懇親会。
サテライトの思い出を語り合いました。
徳島のサテライトと今回のサテライトで大きく違った点は、他の家族と過ごす時間がとても長いこと。
寮でも食事場所でも常に一緒に過ごし、大雪やアクシデントも共に乗り越えてきた参加者たち。
保護者同士も強固な絆で結ばれていました。
サテライトをきっかけに、子どもにも変化がありました。
サテライトの最終日に毎回ギターを弾いてくれていたG5の子。
その子に憧れて、G4の子もギターをはじめ、ついにここでセッションが実現しました。
ずっと憧れていた先輩と一緒にみんなの前でギターを弾けて、彼の夢が1つ叶いました。
【5日目】
迎えた最終日。
1時間目にオンライン授業を受けた後、高専スタッフが保護者向けに学校案内をしている間に、子どもたちは体育館で最後の時間を過ごしました。
今回は参加保護者の中に大学生の方がいたのですが、子どもたちは笑顔で一緒に遊んでくれるお兄さんのことが大好きになりました。
鬼ごっこ・ドッジボール・サッカー、1時間以上全力で遊んでもらった子どもたち。
終了時間になると、
「もう○○とは会えないの?」
「これで帰っちゃうの?」
と、とても寂しがっていました。
・振り返り
全てのスケジュールを終えて、最後はお世話になった高専スタッフの皆さんに挨拶をして、今回のサテライトが終了しました。
学校の施設を部外者に貸し出したり、寮を食堂を使えるようにしたりするのは、実はかなり大変なことなんです。
それを実現してくださった国際高専の皆様には感謝しかありません。
そしてLCAにとっても、今夏は新たな地域での新たな取り組みとなりました。
大変なことも沢山ありましたが、このメンバーでサテライトスクール白山に来られて本当に良かったと心から思います。
学校の枠を超え、地域の枠を超え、絆を結んでいくサテライトスクール。
2023年度も活動を続けていきますので、どうぞよろしくお願いいたします。