本音の教育で、子どもたちは本物に
朝礼や集会のことをLCAでは「アセンブリー」といいます。他の小学校と違うなと思うことはいろいろありますが、校歌の歌い方も特長があり感動ものです。特別な歌い方ということではありませんが、子どもたち皆が心から嬉しそうに歌っているのです。特に高学年5,6年の子どもたちが、思いっきり口を開けて大きな声を出しているのにはビックリしました。帰宅して家内に興奮して話したほどです。それが、今では当たり前に感じるようになってしまったくらい、LCAでは子どもたちが校歌を大きな声で歌うのは当たり前なのです。
最近(5月中旬)のアセンブリーでも感動しました。今回の校歌斉唱は今までにない大音響でした。この時期には1年生もすでに校歌を覚えており、お腹の底から大きな声をだして嬉しそうに歌っているのです。それに負けじと他の学年の子も大きな声を出して楽しそう。でも引っ張っているのは1年生です。何しろ1年生だけで5,6年生を合わせた人数よりも多いのですから。
そこでハプニングがありました!リードしている1年生が間違えてエンディングのメロディで歌ってしまいました。それに引きずられて、3年生が担っているピアノ伴奏が狂ってしまい、一瞬ホールは静寂に包まれました。
しかし、ピアノが気を取り直して再スタートすると、再び大合唱。自然に何事もなかったように終わりました。そして、なんと大拍手!感動しました。
この日は山口学園長の登場です。学園長は学園の外での仕事が多くなり、いろいろな方にLCAのことを紹介しています。その時にLCAの何を一番自慢するのでしょうか、という問いかけです。LCAは、既存の日本の小学校にないものがたくさんあります。「外国人の担任の先生が英語で日本式の教育をしている」なんてちょっと考えられないし、たぶん他ではマネはできないでしょう。
また、子どもたちはバイリンガルです。日本で育った子たちが、英語に全く不自由しない小学生になっています。まさに、日本語の教科もしっかりできるバイリンガル!これはスゴいことだとおもうのです。でも学園長が一番に、LCAの子どもたちのことを自慢したいのはそれらのことではりませんでした。
それは「LCAの子どもたちは、他人の幸せに心から共感できる子どもたちだ」ということでした。たとえば、外部のコンテストや資格テストで優秀な成績をとって表彰をされる子がいます。LCAには、けっこういるんです。学校でも学園長や私が、賞状を読み上げてみんなの前でお祝いをします。その時です、自分のことのようにLCAの子どもた皆が喜んで、嬉しそうに笑顔で拍手をしてくれます。
他人の幸せにはなかなか大人でも素直に喜べないものですが、LCAの子どもたちは心から共感できるのです。これが「もっともLCAらしい」と学園長はいろいろな席で話すそうです。
それから、LCAにはタレントショーという行事があります。とても素敵なショーなので機会を別に作って書きたいと思います。要は、自分がみんなに見せたい芸をステージで披露する会です。ピアノやバレエがあったりと、その他いろいろやってくれます。ですが、まったく習ってもいないことを自分たちで考えてみんなを喜ばせよう、あるいはステージに立ってみたいと上手下手関係なく楽しんで披露してくれます。
その時の観客である子どもたちの態度が、とても素敵です。ちょっと人前で見せるようなレベルじゃない出し物にも馬鹿にして笑うのではなく「本当に楽しいよ」という気持ちで笑いながら盛大に拍手をします。もしかしたら「ガンバレ」という励ましの拍手かもしれません。いずれにせよ、客席にいる子どもたちも共感してステージの子どもたちと一緒に喜べるのです
最後に、学園長のお話は開催日が迫る運動会の話題になりました。LCAでは、全校が4色のチームに分かれて優勝をかけて競います。1位になるように、みんなが力を合わせて頑張ります。けっこう気合を入れて競技に挑むため、勝つと全身で喜びを表します。逆に、負けたチームは悔しさいっぱいで泣く子もいます。あたり前でしょう。
ですが、そのあと優勝したチームに心から祝福できたらいいよね。去年の運動会ではできていたよね。1位になることが幸せになれるわけではない。負けたからって幸せになれないわけでもない。一緒に喜べた時に幸せになれるんだよ。こういうことです。1位じゃなければ幸せじゃないなら、常に1位じゃないと不幸になってしまいます。
「校歌は皆で大きな声を出して歌いましょう」とか「お友達が表彰されたらいっしょに喜びましょう」なんて、LCAの教師は子どもたちに半ば強制的な物言いはしません。建前で言っても本物にはならないでしょう。本当に子どもたちのことを考えて、本気で本音で子どもたちに接することが大切です。すると、子どもたちに私たちの思いが伝わり本物になるんだろうと思っています。
LCAにはその他にいろいろな「本物」があります。折にふれて皆さんにお話ししたいと思います。
【校長・西村 昭比古】