「古典」に触れることが、大切だとおもう理由とは?
Classic : A book which people praise and don’t read.
「古典とは、人々が賞賛するが、読みはしない本のことだ」
「トム・ソーヤーの冒険」などの作者で現代アメリカ文学の父(ヘミングウエイの言)ともいわれるマーク・トウェインの言葉です。
では、わが国ではどうでしょうか。日本文学にも古典として人々が賞賛する数多の作品がありますが、どれほど読まれているのでしょうか?
古典は、若い時にふれるべきだと思います。なぜかというと、まず名文を暗記できるからです。とくに小学生の時期は暗記能力がとても高いため、この時期に覚えたものは一生忘れません。
次に、古典には昔の人々の心情が語られていて、それに触れると「おっ!私と思っていることが同じだ」と昔の人の気持ちに共感できることがあります。つまり、何百年、何千年以上もの昔の日本人と心が通じ合えることになります。これって、素晴らしいことだと思いませんか。
そうして、日本人としてのアイデンティティーが築かれることになるでしょう。心が豊かになり、感性が磨かれます。もちろん、国際人として日本の文化に親しむという観点もあります。だから、古典に触れることは大切なことだとLCAでは考えています。
暗記させるような「詰込み教育」はよくないとの意見もあるいっぽうで、ヨーロッパの国々での暗記教育は、日本人が考える以上に重要視されているようです。ヨーロッパの古典は韻文が多く暗記しやすいのか、それとも暗記させられたのか、自国の古典的な作品を本一冊分とはいわないまでも、かなりの量を暗記する人が結構いるようです。教養人のたしなみなのでしょう。
有名な詩人・谷川俊太郎さんの作品に、フランスの詩人との対談で恥をかいたというお話がありました。かのフランス詩人が、次々とフランスの古典的な詩を暗誦して紹介してくれました。そして、では谷川さん、となったわけです。日本の代表的な古典を語ってみてと。そして谷川さんは恥をかいたというのです。
詩人ばかりではありません。何代か前のフランスの大統領が国連で演説をしました。その際にフランスの有名な古典を何十分も朗々と原稿を見ずに語ったのです。そして、総会場は割れんばかりの拍手。かっこいい!これです。
ということで、LCAの子どもたちが古典に親しめるように工夫をこらして、オリジナルのテキストを作りました。
その1:「日本人の心を伝える名文集」
内容は、枕草子、方丈記、平家物語、徒然草、太平記、奥の細道の代表的な部分のさわりです。超有名な文章を暗記してほしいとの意図で作りました。このテキストは実際に5,6年生に昨年度より私が授業しています。
その2:「ギリシャ神話」星座編
日本人はなぜか自分の誕生日にちなみ「カニ座」だの「乙女座」とか知っています。小学生だって、それも1年生に聞いてもほとんどの子が答えられます。「○○ちゃん、何座?」「私、うお座」という具合に。それを利用してギリシャ神話に興味を持ってもらいたい思いで作りました。
誕生星座は、全てギリシャ神話由来です。西洋の文化を理解するには、聖書とギリシャ神話は必須です。この星座編は簡単な印刷ですが、読み物としてLCAの子どもたち全員に昨年度配りました。すると、お母さん方から「私にも頂けますか」との問い合わせがいくつかあり、とても嬉しいです。
その3:「はじめての万葉集」
言わずと知れた、我が国が誇る歌集のひとつです。歌集という範疇にとどまらず「日本」とは?あるいは「日本人」とは?について考えるのに最適だと私は考えて、子どもたちに親しんでほしいと思ったため作りました。このテキストを作るにあたって、どのくらいの参考書を読んだでしょうか。約4,500首余りの中から53首を選び、我流の解説を加えました。
その4:「古事記に出てくる神様たち」
古事記は、言わずと知れた日本の神話であることはご存知でしょう。どの民族にも独自の神話があります。「いなばの白兎」や「ヤマタのオロチ」などの神話は古事記がもとになっています。日本には八百万の神様がいます。古事記は上巻、中巻、そして下巻の3巻構成でとくに上巻(かみつまき)は神話的なストーリーになっていて、いろいろな神様が出てきます。
そして、なにより読んで面白い!なので、低学年の子でも読みやすいように工夫して上巻全部をこのようなテキストにしました。今後中巻、下巻と続くシリーズの導入と考えています。古事記を余すことなく小学生向きの読み物にするつもりです。
以上の4編は、本の形態にして6月中旬に全校児童と昨年の卒業生に配りました。今後も古典などを小学生向きの読み物にしていきたいと考えています。
LCAの子たちは日本の文化や伝統を身につけた、バイリンガル・バイカルチャーな国際人になってほしいと願っています。